1. SPAとMPAの基本的な定義

SPA（Single Page Application）とは？

SPAは、1つのHTMLファイルで構成されるWebアプリケーションで、ページ遷移時にページ全体をリロードするのではなく、必要な部分のみを動的にJavaScriptで更新します。

・最初の読み込み時に、HTML、CSS、JavaScriptを一括で取得。

・その後の画面遷移はJavaScriptで制御し、APIを介してデータを取得。

・通常、フロントエンドフレームワーク（React, Vue, Angularなど）で構築。

MPA（Multi Page Application）とは？

MPAは、ページごとに個別のHTMLを持つWebアプリケーションで、各リンククリック時にサーバーから新しいページを取得します。

・ページ遷移のたびにHTMLファイルが読み込まれる。

・通常のWebサイト（ECサイト、ブログ、企業HPなど）で多く使用される構造。

2. SPAのメリット・デメリット。

メリット

・高速なユーザー体験

ページの再読み込みが不要なため、スムーズな操作が可能です。ユーザーはアプリのような体験を得られます。

・フロントエンド・バックエンドの分離

APIベースの設計により、開発チームの分業がしやすくなります（Headless構成）。

・リアルタイム性に強い

チャットアプリや管理画面など、リアルタイム更新が求められる機能に最適。

デメリット

・初期ロードが重くなる

JavaScriptのバンドルサイズが大きくなり、最初の読み込みに時間がかかることがあります。

・SEO対策が難しい

JavaScriptによってレンダリングされるため、Googleなどの検索エンジンにうまくインデックスされない場合があります（対策としてSSRやPrerenderが必要）。

・JavaScriptに依存しすぎる

スクリプトのエラーやネットワークトラブルに弱く、表示が崩れるリスクが高い。

3. MPAのメリット・デメリット

メリット

・SEOに強い

HTMLがサーバーから直接返されるため、検索エンジンが容易にクロールできます。

・安定性が高い

JavaScriptが機能しなくても最低限の表示が可能で、エラー耐性があります。

・従来のCMSやフレームワークと親和性が高い

WordPress、Laravel、Railsなどのサーバーサイド技術と自然に統合できます。

デメリット

・ページ遷移ごとにフルリロードが発生

ユーザー体験としてはやや劣る場合があります。

・コンポーネントの再利用がしづらい

コードの冗長化や保守性の低下につながることがあります。

・開発効率が落ちるケースも

複雑なインタラクションを伴う場合、MPAでは実装が煩雑になる可能性があります。

4. どちらを選ぶべき？ユースケース別の比較

5. SPA開発に使われる代表的な技術

SPA開発では、主に以下のJavaScriptフレームワークやライブラリが使われます。

・React

Facebook製。コンポーネント指向で人気No.1のライブラリ。Next.jsでSSR対応も可能。

・Vue.js

学習コストが低く、個人開発から業務利用まで幅広く対応。

・Angular

Google製。大規模開発に適しており、型安全性が高い。

・Next.js / Nuxt.js

それぞれReact/Vueの拡張フレームワークで、SPAとSSRの両立が可能。SEO対策にも強い。

SPA開発は、高速な操作性やアプリケーションライクなUXを提供したいWebサービスに最適な選択肢ですが、SEOや初期表示速度が求められるサイトではMPAやSSR対応が有効です。どちらのアーキテクチャにも一長一短があり、導入の際はユーザーのニーズ、開発リソース、システム要件を総合的に考慮することが重要です。これからWebサイトを新たに構築またはリニューアルする場合は、SPAとMPAの特徴を理解したうえで、最適な技術スタックと構成を選択しましょう。