1. SPA (Single Page Application) の解説

SPA（Single Page Application）は、ページ全体を再読み込みせず、必要なデータだけを非同期通信で取得し、JavaScriptでページ内容を動的に更新するWebアプリケーションの設計手法です。従来のMPA（Multi Page Application）とは異なり、ユーザーの操作に対してレスポンスが早く、モバイルアプリのようなUXを提供できます。

技術スタックの例

・フレームワーク：React, Vue.js, Angular

・状態管理：Redux, Vuex, Zustand, Pinia

・API通信：Axios, fetch API, React Query

・ルーティング：React Router, Vue Router

事例

・Gmail、Slack、Trello などの業務アプリ

・社内管理画面（CMS、CRM）

注意点

・JavaScriptが無効な環境では機能しない

・SEO対策が複雑（クローラーがJSを正しく解析できないケースあり）

・初期ロード時にJavaScriptバンドルが重くなるとUX悪化

2. SSR (Server Side Rendering) の解説

SSR（Server Side Rendering）は、リクエストのたびにサーバー上でHTMLを生成して返却する方式です。検索エンジンにインデックスされやすく、初期表示速度にも優れているため、SEOが重要なWebサイトに適しています。

技術スタックの例

・Next.js（Reactベース）→ ページごとのgetServerSideProps関数でデータをサーバーで取得

・Nuxt.js（Vueベース）

・フレームワーク非依存のNode.js SSR構築も可

事例

・コーポレートサイト、商品一覧、SEO重視のLP

・OGP（TwitterカードやFacebookのリンクプレビュー）対応が必要な場合

課題と対処

・サーバー負荷増大 → VercelやCloudflareなどのEdge SSRの活用で分散

・レイテンシの増加 → キャッシュ戦略（ISR、CDN併用）で改善可能

3. SSG (Static Site Generator) の解説

SSG（Static Site Generator）は、ビルド時にすべてのページを静的HTMLに変換して保存し、配信時にはサーバーの処理を介さず即座に表示する手法です。高速でセキュアなサイトが構築でき、Jamstackアーキテクチャの中核でもあります。

技術スタックの例

・Gatsby（Reactベース）

・Next.js（getStaticProps + ISR対応）

・Nuxt Content

・Hugo、Jekyll、Eleventy（軽量SSG）

事例

・ブログ、ドキュメントサイト、技術ポートフォリオ

・コーポレートサイト（更新頻度が低い場合）

課題と対策

・更新のたびに再ビルドが必要 → ISR（Incremental Static Regeneration）やオンデマンドビルドで対応

・投稿数が数千以上だとビルド時間が長くなる

4. 各手法の選定基準とユースケース

SPA・SSR・SSGはそれぞれ異なる特徴と強みを持っており、プロジェクトの目的や運用体制によって最適な選択肢が変わります。動的な操作性やアプリケーションライクなUXを重視するならSPA、SEOや表示速度を重視するならSSRやSSGが有効です。また、ハイブリッド構成を活用することで、複数の要件を柔軟に満たすことも可能です。大切なのは、技術ありきではなく、ユーザーの価値体験や運用負荷まで見据えて、最適な構成を選定することです。