SaaSやソフトウェアの購入プロセスが複雑化する中で、顧客行動を一連の流れとして捉える「W字モデル」が大きな注目を集めています。従来のファネルでは見落とされがちな“購入後の行動”まで可視化できるため、継続利用が収益の中心となるSaaSビジネスに特に適しています。本記事では、W字モデルを活用して顧客獲得から定着までを最適化するポイントを、IT・SaaSマーケターの視点からわかりやすく解説します。
- 1. 1. W字モデルとは?SaaS・ソフトウェア業界で注目される理由
- 2. 2. W字モデルの構造と仕組み
- 2.1. ASCII図:W字モデルの全体構造
- 3. 3. W字モデルをSaaS・ソフトウェアのマーケティングファネルに適用する
- 3.2. 認知・Attention:ファネルの入口を広げる
- 3.3. 評価・Trust:信頼を構築し、比較検討を促す
- 3.4. ASCII図:顧客の心理変化(評価フェーズ)
- 3.5. 収益化・Retention:顧客維持とアップセルを加速
- 4. 4. W字モデル導入がもたらす3つのメリット
- 4.6. 広告・施策の無駄が減少
- 4.7. 顧客体験(CX)が改善し、契約率が上がる
- 4.8. マーケ・営業・CSの連携が強化される
1. W字モデルとは?SaaS・ソフトウェア業界で注目される理由
W字モデルとは、顧客の心理変容と購買行動を2つの広がりと2つの絞り込みで表現したマーケティングモデルです。従来の「逆三角形ファネル」では捉えきれなかった、SaaSやITサービス特有の認知→理解→評価→利用継続という複数構造を、一つの流れとして可視化できます。
SaaSでは特に、
・無料トライアル
・月額課金
・リテンションが売上の生命線
という特徴があるため、購入後の行動まで戦略に含めるW字モデルは、非常に適したフレームワークといえます。
2. W字モデルの構造と仕組み
W字モデルは以下のような形をとります。
ASCII図:W字モデルの全体構造
認知 → 興味 比較・検討 購入 → 利用継続 → リピーター
\ / \ / \ /
\ / \ / \ /
------ --------- ---------
(広がる) (狭まる) (狭まる)
このモデルは次の6段階で構成されています。
3. W字モデルをSaaS・ソフトウェアのマーケティングファネルに適用する
認知・Attention:ファネルの入口を広げる
SaaSの認知段階では、まだ顧客は課題に気づいていない場合もあります。そこで必要なのは教育型コンテンツ と 問題提起型マーケティングです。
認知拡大の施策
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| SEO記事 | オウンドメディア | 比較サイト | 問題提起コンテンツ |
+------------------------------------------------------+
この段階で重要なのは、
・ブランドを売り込まない
・問題と解決策の距離を縮める
という“間接的”アプローチ。
特に日本のB2B市場では、初期接触の段階で過剰に売り込むと逆効果になるため、適切な「距離感」が成果を左右します。
評価・Trust:信頼を構築し、比較検討を促す
顧客が「このサービスなら課題を解決できるかも」と思った瞬間が、W字モデルの最も重要な分岐点です。
比較検討・信頼構築施策
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| 無料トライアル | 導入事例 | 顧客レビュー | 製品デモ・POC |
+----------------------------------------------------+
特にSaaSでは、
・導入事例(ケーススタディ)
・業種別ユースケース
・導入前後の数値変化
が購入判断の決定打になります。
ASCII図:顧客の心理変化(評価フェーズ)
問題発見 → 解決策の比較 → 導入不安 → 製品理解 → 確信
(情報過多) (リスク) (体験) (契約)
この不安をどれだけ解消できるかが、コンバージョン率を大きく左右します。
収益化・Retention:顧客維持とアップセルを加速
SaaSでは購入はスタートラインに過ぎません。日本市場では特に、
・定期的なフォローアップ
・丁寧なオンボーディング
が継続率に強く影響します。
顧客維持の施策
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| 導入後オンボーディング | 活用ガイド | CSチーム伴走 |
| プロダクト更新情報 | 月次利用レポート | アップセル |
+--------------------------------------------------+
SaaSの収益はLTV(顧客生涯価値)で決まるため、「更新・紹介・アップセル」が戦略の中核です。
4. W字モデル導入がもたらす3つのメリット
広告・施策の無駄が減少
W字モデルでは段階ごとに必要な情報が異なるため、「同じメッセージを全員に投げる」という無駄を排除できます。
顧客体験(CX)が改善し、契約率が上がる
顧客の心理状態に合わせて導線を最適化するため、
・トライアル利用率の向上
・契約率向上
・チャーン率低下
という効果が生まれます。
マーケ・営業・CSの連携が強化される
誰がどの段階を担当すべきかが明確になり、組織改善にもつながります。
W字モデルは、認知から購入後の定着までを一貫して最適化できるため、SaaSの契約率向上やチャーン低減に非常に有効です。各段階で必要な情報と体験を適切に設計することで、顧客満足とLTVを同時に高めることができます。競争が激しいSaaS市場において、W字モデルはこれからのマーケティング戦略に欠かせない枠組みといえるでしょう。
著者: Trang Admin
キーワード: W字モデル, マーケティングファネル, SaaSマーケティング, ソフトウェア, ITマーケティング, ファネル最適化, コンバージョン率向上
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ERP、CRM、クラウド、セキュリティなどの企業向けITソリューションの導入は、かつてよりも検索行動の影響を強く受けるようになりました。導入担当者は、必要性を認識した瞬間から検索を開始し、比較軸や候補サービスを自分自身で形成していきます。その流れを適切に捉えるために有効なのがW字モデルです。これは企業ユーザーの検索と評価の動きを可視化し、初期認知から最終決定、さらには導入直前の再検索までを体系的に理解できるフレームワークとして注目されています。











