プログラミングの世界で「古くて新しい」と言われるC言語。1970年代に誕生して以来、OSや組み込み機器、ドライバなど数え切れないほどの分野で使われてきました。PythonやJavaのような最新言語が注目される一方で、C言語はいまもなお多くの開発現場で現役です。そんなC言語で「AIは作れるのか?」「ディープラーニングを実装できるのか?」と疑問を持つ方は少なくありません。この記事では、IT業界に30年以上携わってきた筆者が、C言語でできることを整理しつつ、実際にディープラーニングを試す際の基本的な考え方や実装の流れを、現場感を交えて解説します。
 
 1. C言語とは何か/特徴
1970年代にデニス・リッチーが開発した汎用言語で、OSカーネルや組み込み制御など低レベル領域で多用されてきました。
主な特徴
・コンパイル型で実行速度が速い
・ポインタによるメモリ制御が可能
・標準ライブラリは小規模ながら柔軟に拡張できる
このため、「性能」「制御」「ハードウェア操作」を重視する場面で長年活躍しています。
2. C言語で「できること」:一般的な用途
・組み込みシステム/マイコン制御:限られたメモリ・CPU環境で動作させる機器制御に最適。
・OS・ドライバ・ライブラリ開発:ハードウェアに近いレイヤーでの開発に広く利用。
・高速処理アルゴリズムの実装:数値計算、画像処理、信号処理などで高性能を発揮。
C言語は「処理速度」「制御の細かさ」「ハードウェア親和性」を求める分野に適しています。
3. C言語でAI・ディープラーニングが作れるか?現状と可能性
では本題として、「C言語でAI・特にディープラーニング(深層学習)は作れるのか?」を整理します。
可能性/実績

・実際、機械学習・AI開発において、C言語/C++言語が「内部実装」「推論高速化」「組み込み実装」の場面で活用されているという報告があります。
・たとえば、「外部ライブラリを使わずにC言語でニューラルネットワークの構成・学習の簡単な実装を試した」という記事もあります。
ただし、一般的にはハードルあり
・多くの「ディープラーニング開発/研究開発」では、 Python が主流です。これはライブラリ・エコシステム・学習コストの観点から有利だからです。
・C言語で「初めから大規模なディープラーニングモデルを構築・学習・運用」することは、開発効率・可読性・ライブラリ活用という観点で難易度が高いと言えます。
4. C言語によるディープラーニング実装の基本ステップ
C言語でディープラーニング的な処理を試してみるには、以下の流れが参考になります。
- 数学的・アルゴリズム的基礎をおさえる:行列演算、ベクトル、活性化関数、誤差逆伝播法など。
- データ構造・メモリ管理を考える:C言語では配列・ポインタ・動的メモリ確保が鍵。
- 順伝播(フォワードプロパゲーション)の実装:入力 → 重み × 入力 + バイアス → 活性化関数、という流れをC言語で書く。
- 逆伝播(バックプロパゲーション)・重み更新の実装:誤差を出力から逆に伝えて、重み・バイアスを更新。 → 実装例として「C言語で標準ライブラリ以外を使わず実装したニューラルネットワーク」が紹介されています。
- 学習とテスト:適当なデータ(例えば簡単な線形分類、2層ネットワーク)で動作確認。
- 推論・応用・最適化:学習済みモデルを高速に推論する環境(組み込み、リアルタイム)に移す場合、C言語の強みが活きます。さらに、既存の高水準ライブラリで訓練したモデルをC言語/C++環境に載せるという手法もあります。
このようなステップを踏めば、「C言語でディープラーニングに近いことを試す」ことは十分可能です。
5. C言語を使うメリット・デメリット
メリット
・高速実行と詳細制御が可能
・ハードウェアやリソース制約環境に強い
・既存Cシステムとの統合が容易
デメリット
・開発効率が低く、学習コストが高い
・AIライブラリが少なく、最新技術の追従が難しい
・メモリ管理やデバッグの難易度が高い
7. C言語を使ってAIを作る際の注意点と学習ロードマップ
注意点
・小規模モデルから始める(2〜3層のNNなど)
・Python等で学習→Cで推論という構成も有効
・メモリ管理とデバッグ体制を整える
学習ロードマップ(私の経験をふまえて)
- C言語の基本(文法・ポインタ・配列・構造体・メモリ制御)をしっかり習得。
- 線形代数・微分・確率統計など、機械学習/ディープラーニングの基礎数学を並行して学ぶ。
- 小さい機械学習アルゴリズムをC言語で実装(線形回帰/ロジスティック回帰など)。
- ニューラルネットワーク(順伝播・逆伝播)をC言語で「外部ライブラリ使わず」実装してみる。
- 学習済モデルを軽量化し、C言語やC++環境に乗せて「推論」に挑戦。組み込み系・リアルタイム系ならここがキーポイント。
- 必要に応じてPython等でプロトタイプ→C言語で本番環境、というハイブリッド設計を検討。
C言語は、AIやディープラーニングをゼロから構築するには難易度が高い一方で、実装レベルでは確かな可能性を持つ言語です。Pythonのように多機能なライブラリはありませんが、ハードウェア制御や高速推論、組み込みAIといった分野ではその強みが際立ちます。つまり、C言語は「AI開発のメイン言語」ではなく、「AIを動かすための基盤を支える言語」として今も重要な役割を担っているのです。効率を重視するならPythonでモデルを構築し、最終的な実装・最適化をC言語で行うのが現実的なアプローチでしょう。C言語の本質である“制御と速度”を理解しながら、時代に合わせてAI技術と組み合わせることこそ、エンジニアとしての新たな価値を生み出す鍵になるはずです。
著者: Trang Admin
キーワード: C言語, C言語 AI, ディープラーニング, 機械学習, 組み込みシステム, プログラミング言語比較, C言語実装
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