Windowsアプリケーションの開発に使われるプログラミング言語の一つに「VB(Visual Basic)」があります。 聞いたことはあるけれど、具体的にどんな言語なのか、なぜ使われてきたのか、今も学ぶ価値があるのか——そんな疑問を持つ方も多いかもしれません。この記事では、VBの基本的な概要から成り立ち、特徴、スタンドアロンアプリ開発における活用まで、初学者にもわかりやすく丁寧に解説します。

1. VB(Visual Basic)とは?
VB(Visual Basic)は、Microsoftが開発したプログラミング言語で、主にWindowsアプリケーションの開発に用いられています。
名前のとおり「Visual(視覚的)」に「Basic(BASIC言語ベース)」で操作できることが特徴で、プログラムの画面や処理の構成を、視覚的な操作とシンプルな文法で組み立てることができます。
特に、フォーム(画面)にボタンやテキストボックスをドラッグ&ドロップで配置し、それぞれの動作をコードで定義できる仕組みは、初心者にとってもわかりやすく、学びやすいものです。
Windowsのデスクトップアプリケーション開発を効率的に行える言語として、長年にわたって幅広い業界で使用されてきました。
2. Visual Basicの歩みと現在までの進化
Visual Basicは、1991年にMicrosoftから「Visual Basic 1.0」としてリリースされました。 当時のWindows環境では、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を持つアプリケーションを開発するには高い技術力が求められていましたが、VBはそれを視覚的かつ効率的に行えるツールとして注目されました。
その後、VBはバージョンアップを重ね、VB4.0では32ビット対応、VB5.0ではネイティブコードのコンパイル対応、VB6.0では機能の安定と成熟を迎えます。 このVB6.0は現在でも一部の企業で利用されていることもあり、いわゆる「クラシックVB」の完成形として多くの開発者に親しまれてきました。
2002年には.NET Frameworkの登場とともに、「Visual Basic.NET(VB.NET)」として大きく生まれ変わりました。 VB.NETは、以前のVBとは文法や構造が大きく異なり、C#と同じく.NETプラットフォーム上で動作するモダンな言語として再設計されています。
現在では、Microsoftの統合開発環境「Visual Studio」を通じて、VB.NETを用いたアプリケーション開発が可能です。
3. スタンドアロンアプリとは何か?
「スタンドアロンアプリケーション」とは、他のシステムやネットワークに依存せず、単体で動作するアプリケーションのことを指します。
例えば、会計ソフトや在庫管理システムなど、オフライン環境でも利用できる業務アプリがその一例です。 ユーザーのパソコンにインストールして使えるため、サーバーとの通信が不要で、環境構築やセキュリティの面でも利点があります。
クラウドサービスが主流になっている現在でも、ローカル環境での安定動作やネットワーク不要の要件を満たすために、スタンドアロンアプリのニーズは一定数存在します。
VBは、このようなスタンドアロン型のWindowsアプリケーションを効率的に構築するために適した言語として、長く使われてきました。
4. VBがスタンドアロンアプリ開発に向いている理由
VBがスタンドアロンアプリケーションの開発に向いている理由はいくつかあります。
・GUI開発のしやすさ
フォーム(ウィンドウ)にボタンやリストボックスなどのコントロールを配置し、クリックイベントなどに対応するコードを書くことで、簡単に操作画面が構築できます。視覚的にアプリを設計できるのは、VBの大きな強みです。
・Windowsとの親和性
VBはWindows専用のアプリケーション開発に最適化されており、ファイル操作やレジストリ操作、Windows APIの利用も比較的簡単です。業務で使われるような処理を、少ないコードで実現できます。
・開発環境の充実
MicrosoftのVisual Studioを使えば、インテリセンス(コード補完)やデバッガなどの機能を活用しながら効率よく開発できます。VBは標準でVisual Studioに統合されており、初心者でも導入がしやすい環境が整っています。
・文法のわかりやすさ
VBの構文は直感的で読みやすく、英語の命令文に近い書き方が特徴です。プログラミング未経験者でも、比較的短期間で習得しやすいと言われています。
5. VBの基本構文と開発環境
VBの基本構文はシンプルで明快です。以下は、コンソールに文字列を表示する最も基本的なプログラムです。
このように、Sub(サブプロシージャ)やModule(モジュール)といった構成が、処理の流れを明確に示しています。
開発環境としてはVisual Studioが標準です。 無償版の「Visual Studio Community」も利用可能で、個人学習者や小規模開発者でもすぐに開発を始めることができます。
Visual Studioでは、Windowsフォームアプリケーションを選択して、新規プロジェクトを作成するだけで、GUIアプリの開発がスタートできます。
6. VBと他言語との比較(C#やPythonとの違い)
VBは、.NET Frameworkや.NET(Core/5以降)上で動作するという点で、C#と共通点があります。 両者は同じランタイム上で動作するため、できることに大きな違いはありません。
ただし、以下の点が異なります。
・VBは文法がより自然言語に近く、読みやすい
・C#は構文がC系統(C, Java, JavaScript)に似ており、現在の主流
・C#は新機能の対応が早いが、VBは限定的なアップデート傾向にある
また、Pythonと比べた場合、Pythonは汎用性が高く、データ分析・Web開発・自動化など幅広い分野に対応できます。一方、VBはWindowsアプリに特化しているため、使いどころがはっきりしています。
7. 現在でもVBを学ぶ価値はあるのか?
結論として、目的によってはVBを学ぶ価値は十分にあります。
以下のようなケースでは特に有用です。
・既存のVBアプリ(特にVB6やVB.NET)の保守が必要な場合
・社内ツールや小規模なWindowsアプリをすばやく開発したい場合
・プログラミングの第一歩として、文法のわかりやすい言語で学習したい場合
ただし、新規開発や将来的なスキル展開を考えるなら、C#やPythonといった他言語との比較・検討もおすすめです。
VBは、視覚的な操作性とわかりやすい文法により、Windows環境におけるスタンドアロンアプリ開発に今なお有効な手段の一つです。クラウド全盛の現在でも、ローカルで安定動作する業務アプリのニーズは確実に存在しており、既存資産の保守や内製ツールの構築など、現場レベルでの実用性は十分にあります。VBの特性と用途を理解することで、自身の開発目的に最適な選択ができるようになるでしょう。
著者: Trang Admin
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