ユーザーは一度の訪問で決めず、調べて離れ、考え直して戻ってきます。W字モデルはこの行動を理解するための考え方ですが、重要なのはそれをデータでどう捉えるかです。本記事では、GA4やCDPを用いて、マルチチャネル環境における「戻ってくる行動」を可視化するためのトラッキング設計を解説します。
1. なぜ今、W字モデルを「データで」捉える必要があるのか
ここ数年、ITサービスやSaaSのマーケティング現場で強く感じるのは、ユーザーが一度で決めなくなったという事実です。
検索して、読んで、閉じて、しばらくしてからまた別の切り口で調べ直す。
この「行ったり来たり」の行動こそが、W字モデルの本質です。
ところが多くの現場では、この動きがデータとして正しく捉えられていません。
まずは、W字モデルの中で何が起きているのかを整理してみましょう。
2. W字モデルにおけるユーザー行動と、計測が難しい理由
W字モデルでは、離脱は失敗ではありません。
判断するための「間」なのです。
しかし、従来の計測ではその文脈が見えにくい。
以下の表は、そのズレを整理したものです。
W字モデルにおけるユーザー行動と計測の難しさ
このズレを埋めるために必要なのが、イベントベースでの行動トラッキングです。
3. GA4でW字モデルを追うための基本的な考え方
GA4は、ページビューよりも「行動」を見るための設計になっています。

これはW字モデルとの相性が非常に良い。
重要なのは、何回訪れたかではなく、どこに戻ってきたか。
そのためには、W字モデルを意識したイベント設計が欠かせません。
GA4でW字モデルを捉えるためのイベント設計例
これにより、「戻ってきたが、まだ迷っているユーザー」が見えるようになります。
GA4だけでは足りない理由と、CDPの役割
GA4は行動を捉えるのに優れています。
ただし、ユーザーをまたいだ統合は得意ではありません。
特に、
・スマホとPCをまたぐ
・時間を空けて再訪する
こうしたW字モデル特有の動きは、GA4単体では断片的になりがちです。
ここで力を発揮するのがCDPです。
GA4とCDPの役割の違い
CDPがあることで、「なぜ戻ってきたのか」という文脈が見えてきます。
4.マルチデバイス時代の「戻り」をどう捉えるか
完全なユーザー識別は現実的ではありません。
しかし、W字モデルでは兆しを捉えることが重要です。
代表的な「戻り」のサインを整理すると、次のようになります。
W字モデル視点で重要な「戻り」のシグナル
これらはすべて、W字の「谷から山へ戻ろうとする動き」です。
W字モデルにおける行動トラッキングで重要なのは、離脱を失敗と捉えず、再評価のプロセスとして理解する視点です。GA4のイベントベース計測は「戻り」を検知する入口となり、CDPはその行動をユーザー軸で統合し、文脈として理解する役割を担います。完璧な識別を目指すのではなく、料金ページや事例ページへの再訪といった兆しを丁寧に拾い上げることが、W字モデルをデータで活かす第一歩です。ユーザーは必ず迷い、考え直します。その前提に立ってトラッキングを設計できたとき、データは単なる数値ではなく、意思決定を支える確かな根拠へと変わります。
著者: Trang Admin
キーワード: W字モデル,行動トラッキング,GA4,CDP,イベント設計,再訪問,再検索,ユーザー行動分析,ITマーケティング,データ分析
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